投手と打者の二刀流、メジャーリーグのスター選手として活躍する大谷翔平。WBCでは侍ジャパンの一員として日本中を盛り上げた大谷が世界最高峰の野球リーグMLBで打ち立てた数々の記録とは?
投手と打者を兼任する二刀流としてメジャーで大活躍しているエンゼルスの大谷翔平。野球ファンでなくともその名を知る人も多いだろう。WBCでは侍ジャパンの大谷として活躍し、14年ぶりの王座奪還に大きく貢献した。
今や大谷翔平はファンだけではなく、レジェンド選手や現役選手をも虜にしているようだ。引退直後にアメリカ野球殿堂入りした「ビッグ・パピ」の愛称で知られる元メジャーリーガーのデビッド・オルティーズはインタビューで「君は一体どこの惑星から来たんだ?」と大谷を絶賛。さらに、チームメイトでもありWBCではアメリカ代表のキャプテンを務めたマイク・トラウトも「彼はエグい選手だ」と褒め称えている。
日本プロ野球の日本ハムファイターズ時代から、大谷は数々の偉業を成し遂げてきた。大リーグに挑戦する時も、ヤンキースやレッドソックスといった名門からのオファーを断り、二刀流としての起用を優先してくれたエンゼルスを選んだのだ。その結果、「メジャーで二刀流は通用しない」という人々の予想を見事に覆し、今ではエンゼルスファンだけでなく全ての野球ファンを魅了する選手となった。
では、そんな世界的スター選手である大谷翔平の驚異的な記録について見ていこう。
二刀流・大谷翔平の「打」
2018 年にメジャーに移籍した大谷は、1年目でなんと22本のホームランを放ち、それまで日本人メジャーリーガーでは歴代トップであった城島健司の18本塁打という記録を大きく塗り替えた。さらに、ア・リーグ最優秀選手(MVP)となった2021年には46本塁打を放ち、激しいホームラン王争いの一角として注目を集めた。ホームラン46本は日本を代表する強打者である松井秀喜が2004年に記録した31本という数字を大きく上回り、日本人メジャーリーガーとして史上最多となっている。
二刀流・大谷翔平の「投」
大谷は160キロ以上のストレートだけでなく、カーブ、スライダー、フォーク、カットボールなど様々な球種を自在に操ることが出来る。野球ファンであれば誰もが興奮したであろうWBCでのマイク・トラウトとの直接対決でも、160キロの連続剛速球からの大きく曲がるスライダーで現役最強打者を打ち取った。
今季はメジャーリーグでの投球も好調で、開幕から59投球回で既に80奪三振を達成し、ア・リーグ単独2位につけている。現在までの通算成績では、二刀流としてはMLB史上初の通算521奪三振で、元祖二刀流ベーブ・ルースの501という歴史的記録を更新した。
進化し続ける大谷翔平2018年シーズン開幕戦で初打席初安打、その3日後には初登板初勝利。さらに、開幕間もなく3試合連続ホームラン。この時、誰もが大谷の「メジャーで二刀流」を確信しただろう。その後も、大谷は野球の神様とも呼ばれるベーブ・ルースの功績を塗り替えていく。
1年目ではメジャー史上初10登板20本塁打10盗塁で、ア・リーグ新人王に堂々と選出された。2019、2020年は怪我やリハビリでメジャーでの投手しての活躍から遠退いたが、2021年4月5日のホワイトソックス戦でついに投打で復活。2番・投手で先発した大谷は5回まで投げ、降板後も試合終了までライトの守備につき、エンゼルスの白星獲得に大きく貢献したのだ。そして、その年のオールスターゲームでは、投手でホームランダービー出場や投打でスタメン出場というMLB史上初の偉業を達成し、満票で2021年のアメリカン・リーグMVPとなった。
さらに、大谷は二刀流としてメジャーリーグのルールまで変えてしまった。それまでのルールでは先発を降りた投手は打席に立てない、もしくは打者として残る代わりに守備につく必要があった。しかし、2022年シーズンから遂に、先発投手が降板後DH(指名打者)で打席に立つことができる「大谷ルール」が導入された。このルールで大谷は投手として15勝、打者として34本塁打を達成し、ベーブ・ルースの13勝11本塁打というそれまでの記録を大きく更新した。
「大谷ルール」は2023年からの日本プロ野球にも導入され、いかに大谷翔平が野球界に大きな影響を与えているかが浮彫だ。
しばしば大谷はベーブ・ルースと比べられ、どちらがより優れた選手かが議論されることがある。しかし、100年前と今では条件や環境が異なるため、単純に比較できるものではない。ただ、大谷翔平はレジェンドとして日本だけでなく、世界の野球史に名を残す存在になったのは間違いないだろう。
今シーズン、大谷は現在5勝11本塁打と投打ともにリーグ上位につけており、今年も彼自身が打ち立てた歴史的記録をさらに塗り替えていくだろう。今後も進化し続ける大谷翔平から目が離せない!