間もなく開催される世界最高峰のG1レース、凱旋門賞。レースの基本情報や日本馬から出走予定の馬、注目馬について見ていこう。
凱旋門賞 2023が間もなくやってくる。各国を代表するトップクラスの競走馬がロンシャン競馬場の美しい芝を駆け、頂点を競い合うこのレース。日本馬が悲願の初制覇を飾ることをファンは毎年心待ちにしている。
毎年10月初めにパリのロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞(芝・2400m)は、世界のG1競走格付けランキングでも3位となっており、芝の長距離レースの中は世界最高レースである。
出走資格があるのは3歳以上の牡馬と牝馬のみで、騙馬(去勢された馬)は出走できない。また、IFHAが発行する全世界の競走馬レーティングで上位にランクインすることも出走条件となっている。
負担斤量は3歳牡馬で56.5㎏、4歳牡馬で59.5㎏、牝馬は-1.5㎏となる。有馬記念の最重量が58kgということを考えるとかなり重いことがわかる。負担斤量が1㎏重くなると1馬身(0.2秒)の差が出ると言われており、レース結果に大きく関わってくることから予想の際にも注意したいポイントの1つだ。
それでは、凱旋門賞 2023に出走予定で、特に注目したい競走馬について見ていこう。(カッコ内の数字は単勝オッズ)
エースインパクト(@ 4.33)
現在5戦5勝、無敗で今年の仏ダービーを制しているエースインパクト。仏ダービーでは、最後の直線で後方2番目から華麗な末脚で差し切り、他者を寄せ付けない強さを見せつけた。重馬場でも良馬場でも好走できるので、当日の馬場状態で左右されることはないだろう。手綱を取るのは共に仏ダービーを制したクリスチャン・デムーロ騎手。唯一の懸念材料としては、今まで出走してきたレースの最長が2000mで、今回400mをどう調整してくるかだ。
フクム(@5.50)
前走の英G1・キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでは、ウエストオーバーとの激闘の競り合いでレースを制したフクム。経験豊富なこの6歳馬は、馬場状態に関係なく2400m以上の重賞で何度も勝ち星を挙げている。前走ではデビューから手綱を取るベテランのジム・クローリー騎手が追い込みの際に規定回数を大幅に超えた回数ムチを使用したとして騎乗停止処分を受けているが、フクムの実力は申し分なく一流であることは証明されている。
フィードザフレイム(@10.00)
ロンシャン競馬場に慣れているという点で、今年のパリ大賞(G1)で1着、前哨のニエル賞でも2着となったフィードザフレイムは外せないだろう。今年の仏ダービーではエースインパクトに土をつけられたものの、デビューから5戦中4戦をロンシャン競馬場で出走しており、3勝を挙げている。凱旋門賞と同じ条件の「ロンシャン・芝2400m」を勝った経験は大きなプラス要素であり、騎乗は前哨戦に続きクリストフ・スミヨン騎手とみられる。凱旋門賞のタイトルを2度も手にした経験のある騎手と共に挑むのは何とも心強い。
ウエストオーバー(@9.00)
昨年の凱旋門賞にも出走しており、結果は6着であった。サンクルー大賞では1着だったものの、イクイノックスが圧勝したドバイシーマクラシックで2着、前走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでも僅差で2着と、あと一歩が欲しいところ。距離適性に問題はないが、もし当日の馬場が荒れた場合は、他の馬が重馬場対応に優れているため少し不安が残る。ただ、父は生涯成績14戦14勝、怪物並みの豪脚で知られたあのフランケルだ。愛ダービーを7馬身差で圧勝したときのような爆発に期待せずにはいられない。
スルーセブンシーズ(@17.00)
今年、日本から唯一出走となるスルーセブンシーズ。前走の宝塚記念では、上記の全世界の競走馬レーティングで1位にランクインしているイクイノックスに次ぐ2着。10番人気だったにも関わらず、最後に馬群からスッと前に抜け出しイクイノックスをあと一歩のところまで追い詰めた彼女の底力は計り知れない。騎乗予定は、日本で大活躍中の名手・フランス出身のクリストフ・ルメール騎手。昨年の凱旋門賞では5歳牝馬のアルピニスタが女王となっていることからも、牝馬ハンデを生かして大穴を空ける可能性は十分に考えられる。